3.薬剤師国家試験への第一歩

実務実習につなぐ 4年次の実務実習事前学習

 6年制薬学科の教育目的の一つが薬剤師国家試験の合格です。薬剤師国家試験の出題傾向から実務実習での学びが重要です。
 実務実習では、実習カリキュラムに沿って保険薬局(調剤薬局)や病院で患者に投薬する薬を扱い、患者に対する服薬指導などの業務を体験します。
 そのため実務実習に先駆けて行うのが実務実習事前学習(事前実習)です。資格をもたない学生が実務実習を行うため、共用試験で第一線への対応力を確認します。実習施設に対して、実習生の能力を保証するものでもあります。

薬剤師国家試験の変更 CBTの重要性が高まる

 薬学部は、国家試験対策担当の教員が薬剤師国家試験を分析して次年度の教育に反映します。第99回と第100回の出題委員を務めた教授から「難しい出題になった」との声を聞くことがあります。その後の新卒者の合格率は85%前後で推移しています。
 2015年、厚生労働省・医道審議会薬剤師分科会は、薬剤師国家試験の試験科目の見直しや新たな合格基準を定めました。
 物理・化学・生物の各科目は重要な科目ですが、CBTで基礎力を確認すれば足りると判断して本試験では問わなくなりました。有機化学などを苦手にしないことが大切です。
 本試験では基礎科目の設問がなくなり、臨床能力や問題解決能力を問う出題が増加。より実践的な内容になりました。

実践的な出題内容 薬剤師国家試験

 薬剤師を目指して私大薬学部を受験するのであれば、ストレートを含む国試合格実績やフォロー体制もチェックポイントでしょう。
 国公立大学の学生は、12月中に研究成果発表を済ませて国試の受験準備をスタートさせるといいます。学生は「個人で努力しています。大変です」といいます。
 薬剤師国家試験の平均合格率は、私立大学が毎回85%程度。国公立大学は90%を破ることはありません。
 実務実習で体験する、がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症の代表的な8疾患。毎回ここから多くの出題があり、現場での対応能力・総合力、そして考える力がみられます。
 また地域包括システムなど薬局薬剤師の職能に関する出題もあり、行政が政策を実現しようとする方向性も垣間みられます。
 薬剤師国家試験の合格実績(合格率)の推移から総数で合格率が低下していることがわかります。また数値の上では、私立大学が合格率を維持しているようにみえます。

 薬剤師国家試験予備校などの評価では、薬剤師国家試験は易化しているとの指摘があります。

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