3. 国試合格や就職につながる事前実習・共用試験、実務実習

自身の実力を判断して志望校選択を進める受験生

 受験生は、「合格できるだろうか?」と心配し、「合格できそうな薬学部を選択する」といわれます。
 多くの受験生が「自身の実力にあった大学」をピックアップして、その中から希望に合った薬学部を選択。到底合格できそうもない薬学部は最初から外すというわけです。
 そのため入試は、同レベルの学力をもつ受験者で構成される傾向があります。
 創薬研究者を目指すA国立大学薬学部の学生は、次のように話します。
 「学費負担を考えて国公立大学を検討しました。地元のB大はレベルが高く合格するのはとても無理です。C大は、合格できるレベルでしたが、就職や地元の評判などを考慮。そこでC大とレベルが同じA大を志望校に選び、入試も成功しました」といいます。
 これらをまとめると
○創薬研究者を目指している
○学費負担が軽い国公立大学を目指した
○B大学は入試が極めて難しく諦めた
○C大学は就職実績に不安があった
○トップ校のB大学を避けてC大学を選んだ
 と思われたくなかった。地元から遠く離れ
 たA大を受験した。
 話の内容はこのようなものでした。自身の条件にあった進学先を選択したのです。

志望校選択の重要項目と志願者が重視するポイント

 皆さんは、重視するポイントとしてご自身が重視するキーワードがあるのではないでしょうか。大学が努力しても対応できないのが「立地条件」です。
 教育内容や就職実績などの魅力をアピールしても、都心部にキャンパスがあるだけで志願者が集まる傾向があります。楽しいキャンパスライフを魅力に感じているのでしょう。「都心部」は、重視するポイントなのです。
 6年制学科(薬学科)について考えてみます。志願者の多くが「病院薬剤師」を目指すといいます。中には「調剤薬局の薬剤師さんの仕事ぶりを見て、薬剤師になりたいと思った」という人もいます。共通しているのは、薬剤師国家試験に合格して医療人になることです。
 「薬剤師国家試験に合格すること」、「将来薬剤師となって役立つ知識が得られる」、「しっかりした就職実績がある」などの魅力をもつ薬学部を選択することになります。

実務実習の第一歩は実務実習事前学習と共用試験

 実務実習で学んだ内容が、薬剤師国家試験で出題されることもあり、実務実習は国試合格に直結する重要な存在です。
 実務実習は教育の一環ですが、保険薬局(調剤薬局)や病院の現場で薬を扱い、患者に服薬指導などを行います。そのため実務実習に先駆けて学内で行う実務実習事前学習(事前実習)を行います。
 実務実習事前学習の成果を確認し、学生を第一線に出しても問題がないかを確認するのが共用試験です。共用試験をはじめ、各学年で行う早期臨床体験などの教育イベントも志望校選択のポイントに加えたいですね。

共用試験

 共用試験は、CBTとOSCEがあり、その両方に合格すれば5年次に進級。調剤薬局と病院で行う実務実習に進みます。
 OSCEは、薬剤師としての基本技能を確認します。事前実習や自主的な練習を重ねて、最初は緊張して手が震えていた学生も合格レベルに達します。
 CBTは、コンピュータが出題する310の質問に答えるもの。本誌112ページのデータが示すようにCBTの成績が合格の鍵になります。
○OSCEの実施課題(5領域6課題)
①患者・来局者応対
②薬剤の調製
③調剤監査
④無菌操作の実践
⑤情報の提供
※CBT/Computer-Based Testing)
※OSCE/Objective Structured Clinical Examination

アドバンスト教育など臨床教育の中身にも注目

 実務実習だけでなく、各薬学部は体験学習などを企画して臨床などの知識を高めようとしています。例えば、実務実習後の追加の「臨床実習」として「アドバンスト教育」を積極的に行う大学があります。
 実務実習後のアドバンスト教育・臨床実務教育に力を入れる薬学部には注目です。

2023年3月卒業生(合わせて入試結果)
https://www.mext.go.jp/content/202309011-mxt_igaku-100000059_01.pdf
2022年3月卒業生(合わせて入試結果)
https://www.mext.go.jp/content/20230419-mxt_igaku-100000059_01.pdf
2021年3月卒業生(合わせて入試結果)
https://www.mext.go.jp/content/20230227-mxt_igaku-100000059_01.pdf

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