薬学部に関するいろいろいな話
たくさんの薬学進学希望者にデータを見て欲しくて、noteにも同様の記事を投稿しています。
最新の投稿をご紹介させてください。
入りやすい薬学部ってどう?
編集者は、長く薬学部に関する仕事をしてきました。
その中で大きな変化が2つありました。
その一つが小泉政権による規制緩和。薬学部の新設が認められ、これが今も薬学部全体に影響を残しています。
もう一つが薬学教育の6年制導入です。手に職をつけ4年で国家資格が得られるという薬学部の魅力が失われたのです。6年という修業年限を長く感じ、学費負担を考えると受験を躊躇する受験生が多いのです。
薬学部にとって激震だったのが新設薬学部の誕生と6年制導入だったでしょう。
志願者の減少は大学の収入減
薬学部に関する仕事をしていると、気になるのが各薬学部の志願者数です。
志願者の減少は大学の力を奪います。例えば、2024年の志願者が1798人の薬学部の受験料収入は6293万円(受験料3万5000円)と推測できます。この薬学部の10年前の志願者は4331人でしたから、この年の受験料収入は1億5000万以上あったことになります。大幅な減収です。
志願者の減少は、教育の質に影響を与えるかもしれません。実は、受験料収入に限らず大きな減収の要因になりそうなのです。
薬剤師の質は低下している?
薬剤師の質的低下。現役の薬剤師さんがどう捉えておられるか伺ってみたいですね。
少なくとも厚生労働省は、低下しているとみているようです。
厚生労働省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」が報告書を2023年3月29日にまとめました。資料には、今後の活動が示唆されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32327.html
ここには文科省の資料も掲載されています。資料2-1-1 6年制課程薬学部の定員抑制について(文部科学省)には、「私学助成について、定員未充足の大学に対する減額率の引き上 げや不交付の厳格化などメリハリある財政支援等により、より一層の入学定員の適正化を求めていく必要がある。」との記述です。
大学の運営を支えているのは、学費収入と受験料、そして私学助成金(私立大学)です。私学助成金は、補助金といった方がわかりやすいでしょうね。基準を満たさない薬学部の息の根を止める政策のようです。
補助金がカットされる?
志願者や入学者が減少した薬学部、国試合格率が基準を満たさないケースで補助金がカットされるかも?。
入学者の獲得に苦しむ薬学部のスタッフによると「補助金があるので生き延びています。私たちは補助金マジックと表現しています」といいます。
文科省が公表している「薬学部における修学状況等」で定員未充足の状況を見ることができます。定員未充足を80%以下とした場合、対象となる薬学部は19学部。90%以下であれば26学部になります。
修学状況等 2023年度調査結果
https://www.mext.go.jp/content/202309011-mxt_igaku-100000059_01.pdf
薬学部研究シリーズの制作を考えています
薬学部を単独で紹介。「入る(入試)」、「学ぶ(教育)」、「働く(就職)」の3項目に分けて紹介します。
最初の薬学部研究は「京都大学」を予定しています。
京都大学は、成績上位者でも入学が難しい薬学部ですが、トップ校の卒業生がどんな就職をしているか、どんな学びをしているかなどを紹介したいと考えています。
さらにシリーズは、私立大学薬学部の評価と続きます。
優秀な大学には優秀な学生が集まり、その集団内で順位がつけられます。研究室の選択に成績を評価するとなれば日頃からの学習や研究を頑張らなければなりません。
各大学には、人気の研究室があります。とくに博士課程では、研究内容が研究者採用に影響する可能性があるため、どんな研究をしているか見ておくのもいいでしょう。
【働く(就職)】
薬学部を志望する皆さんの目的は何でしょう。
○病院薬剤師、薬局の薬剤師などを目標とする人。
○製薬企業や化学メーカーなどに就職して創薬研究、臨床開発に携わりたいという人。
○化学や生物などの知識を生かして国民・市民のために公務員をめざす人。
○まだ明確な進路を決めていないが好きな化学の力を活かしたいという人もいるでしょう。
就職関係の紹介は以下のような内容で構成します。
○薬学科の就職支援・就職実績・就職先
○大学院・博士課程6+4の就職実績
○薬科学科の就職実績・就職先
○大学院・博士前期課程・就職実績・就職先
○キャリア支援や学生の動きから、特色について紹介します。
就職実績から就職の傾向を紹介、レーダーチャートにより就職の得意分野を可視化します。
【入試(入る)】
よく似た教育環境でも入試科目が違い、難易度も違います。一番下のデータは、学内に医学部があり、附属病院がある薬学部です。
学びの環境は似ているのですが入試科目や難易度が異なります。
学内に医療系、中でも医学部や看護学部がある薬学部は、多職種連携教育で恵まれているといわれます。
2024年入試で驚いたのは、ネット検索で人気があった順天堂大学薬学部の結果です。一般選抜の実質競争倍率が2.5倍程度。薬学部全体が志願者減少の傾向にあり、医療系総合大学も同じ風を受けているのです。そんな話題にも触れていきます。
【学び(教育)】
各薬学部の独自性に注目します。
6年制学科・4年制学科が養成を目指す人材、将来を見据えた教育、カリキュラムの特色、アドバンスト教育、実習教育、卒業研究、教授陣(教授や准教授、研究室と研究内容)、共用試験の結果、事前実習施設、国試準備と合格率など、教育の特色・独自性などを紹介していきます。
各薬学部が発する自己分析、薬学教育評価機構のような外部団体の評価。皆さんに関係する情報があれば噛み砕いて紹介します。
https://jabpe.or.jp/special/publication.html
薬学部や入試という堅苦しいテーマですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。お知り合いの薬学部受験生にご紹介いただければと思います。
医療系総合大学の薬学部入試
https://yakkei.jp/contents/topics/sogonyushi.pdf