#2 薬剤師不足の要因とは

病院の求人票は5月から6月に最も多く寄せられます。

 その時期は、企業の採用活動が終盤を迎え、次年度採用の準備を始めるタイミングです。企業担当者は、次年度採用計画の立案、そしてサマーインターンシップ参加者の募集・選抜など2年分の採用活動が重なって忙しい毎日です。企業の採用担当者としては、早く内定者からの内定受諾の回答がもらい、次年度の採用に向けて専念したいという状況です。
 病院薬剤師を狙っている学生は、事前に病院見学などを行なっていますので希望する病院から求人票が届いたらすぐにエントリーします。各大学のキャリアセンターは、履歴書や教授推薦書など応募書類を取りまとめて病院に提出します。多くの病院が大学単位で必要書類の提出を求めるため、病院の提出締切日よりも前に「学内提出期限」を設けています。
 応募者が多い病院は、内定が得られない(不採用)ケースもあります。
 病院の応募は1施設として、不採用になれば次の病院に応募できるというルールがある大学が多いと思います。病院就職では、併願できないのです。かつて病院内定者が辞退して、その病院からの求人票が来なくなったという経験が産んだルールといわれます。

就職活動のタイミングが大きな要因では?

 8月頃には「薬剤師国家試験の準備を始めたい」と学生は考えています。国試に向けた補習などが始まる前に就職活動を終了したいと考えるのです。
 大学が病院ルールを緩和して併願を認め、病院も併願を受け入れ、補欠合格が可能になれば「病院薬剤師不足」は多少改善できると考えられます。
 一方、1期、2期の実務実習で病院を経験した学生は職場体験をしていますし、先輩(現場の薬剤師さん)のアドバイスを得ているかもしれません。病院薬剤師を目指す学生にとって1期、2期の病院実務実習はアドバンテージになるでしょう。
 病院就職を考える学生は、見学会への参加、個別の見学を行ないます。先輩の就活体験から病院就活のノウハウを吸収。早めに行動します。病院の採用活動・スケジュールを把握して、エントリーのタイミングを図ります。情報収集が重要です。

まだ薬学部に合格していないのに病院就職の話。早すぎると思いますか?

 各薬学部が公表する就職実績をみて、「病院薬剤師にはなれないんだ」、「病院で働けないのなら薬学部の受験はやめておこう」と考える受験生が現れるかもしれません。
 病院薬剤師の採用減少は、学生の能力が原因しているのではなく、病院が採用できなかった結果と考えられます。キャリア支援がしっかりしている薬学部は、反対に病院就職者数を伸ばしているのです。
 薬学部受験の正しい知識をもって欲しくて、皆さんのキャリアプランの実現のために記事づくりしました。

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