推し薬「オーソライズド・ジェネリック」

    薬系キャリアコンサルタント 斎藤由紀夫氏

ジエネリックの使用割合が8割を超えた

 病気を治療するために薬は欠かせないものとなっている。医師が処方する薬には先発医薬品と後発医薬品があり、後発医薬品はジエネリックとも言われている。
 国は医療費の削減から、早くからジエネリックを推奨してきており、2020年にやっと使用割合が8割を超えた。その期間は20年ほどかかっている。

ジェネリックメーカーは190社ほどがある

 ジェネリックは、先発医薬品の特許期間を過ぎると販売できる。販売するためには、先発医薬品との同一性を証明しなければならない。有効成分の生物学的同等性試験と品質試験が必要であるが、先発医薬品が行っている臨床試験の必要がない。
 その分薬価が5~7割に抑えられており、患者への費用負担が軽くなる。ジェネリックメーカーとしては、短い期間と少ない費用で販売できるので、多品種少量生産により利益につなげている。
 その数は190社ほどがあるが、小規模な企業が多く安定供給が問題となっている。

先発医薬品を指定する医師は少なくない

 ジェネリックを処方するのは医師である。処方箋にはジェネリックに変更不可のチェック欄があり、そこにチェツクがなければ薬剤師がジェネリックに変更できる。
 しかし、チェックを入れ先発医薬品を指定する医師は少なくない。その理由として最も多いのは、ジェネリックの有効性と安全性が本当に先発医薬品と同一なのか、という点にある。
 ジェネリックは、原薬や添加剤、製法が先発品と異なる製品があり、また錠剤の9割は添加剤といわれているので、不安を抱くのは不思議ではない。

オーソライズド・ジェネリックは先発医薬品メーカーがオーソライズ(許諾)した薬

 その不安を払拭してくれるジェネリックが10年ほど前から発売されている。オーソライズド・ジェネリックである。
 ジェネリックは、大きく分けると一般的なジェネリックとオーソライズド・ジェネリックに分けられる。オーソライズド・ジェネリックのほとんどは先発医薬品と変わらない。先発医薬品メーカーがオーソライズ(許諾)した薬なのである。

オーソライズド・ジェネリックを広めるのは薬局薬剤師の役割

 筆者は高コレステロール血症でロスバスタチンのオーソライズド・ジェネリックを服用している。先発医薬品と中味は同じで、違うのは包装と販売会社なので安心感がある。
 一般のジェネリックに比べると品目数が少ないので、ジェネリックは知っているが、オーソライズド・ジェネリックを知らないという人は多い。
 広めていくのは薬局薬剤師の役割でもある。

オーソライズド・ジェネリックへの期待は大きい

 いま、特許が切れたジェネリックの先発医薬品を処方した場合、その差額の一部を保険外として患者の一部負担額に上乗せする案が検討されている。
 法の改正が必要ないため、今年の10月から実施される予定で、これにより100億円以上の財政効果が見込めるとしている。
 また、数量ベースから金額ベースの目標が設定される計画もあり、ジェネリック市場のさらなる拡大が見込まれる。オーソライズド・ジェネリックへの期待は大きい。

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