調剤併設型ドラッグストアと薬局の違いが分かりますか

薬系キャリアコンサルタント 斎藤由紀夫氏

ドラッグストアと薬局の違いとは

 マイ薬局は商店街の入り口にあり、店頭にはセールの日用品、店内にはOTC医薬品が並んでいて、一番奥に処方箋を扱う調剤室がある。物販が多いので調剤併設のドラッグストアかなと思って聞いたら、「うちの店は薬局です」と言われ、勘違いしていたことに初めて気づいた。日用品が多く、土日もやっていることからずっとそう思っていた。地域に密着した薬局は調剤のほか、OTC医薬品や日用品などを取り扱うドラッグストア化した店舗が多くみられる。一方ドラッグストアは、調剤併設の店舗が増え大型化している。その背景に何があるのか。

事業内容に応じた許認可

 ドラッグストアは、ネットで調べると「医薬品と化粧品を中心に日用品、食品などを取り扱う店」とあるが、明確な定義は見当たらない。業態別にみるとドラッグストアは店舗販売業の許可が必要で、薬局は薬局としての許可がいる。調剤併設のドラッグストアはその両方の許可を取得している。薬局は薬を調剤するところであり、薬剤師の常駐と調剤室があることなどが要件である。薬局の許可を取得していれば、OTC医薬品などの物販を販売できるが、門前の薬局では多くの物販を揃えている店舗はあまり見かけない。

店舗が置かれた立地や形態で機能に変化

 ドラッグストアの医薬品販売は大きく2つのタイプに分けられる。ひとつは、副作用リスクが少ない2類や3類のOTC医薬品などを登録販売者が販売している店舗。それと、薬剤師もいて医療用成分からOTCにスイッチされた1類も含め要指導医薬品を取り扱い、調剤を併設する店舗である。大手チェーンのドラッグストアは、調剤併設の店舗を増やし待ち時間に買い物をしてもらうことで売上を伸ばしている。

収益率が高い調剤事業

 直近のドラッグストアの総売上は約9兆円。スーパー(約15兆円)やコンビニ(約
12兆円)には及ばないものの、5%超の高い伸び率を示している。医薬品、化粧品、日用品、食品のカテゴリー別売上額では、医薬品が3分の1を占め食品がそれに続いている。なかでも処方箋による調剤額は1兆円を超え、もう少しで薬局を含めた全調剤額の2割に手が届く。調剤は利益率もよいことから、ドラッグストアの多くが調剤併設店舗を増やしている。

行政が計画する政策により、少しづつ変わる業界

 「モノからヒトへ」が叫ばれて10年近くになる。今回の診療報酬改定では「モノ」の
部分の調剤基本料や薬剤料の点数が下げられ、「ヒト」にかかわる部分の薬学管理料の点数が上乗せとなった。また、地域の拠点としての役割を発揮する加算をとるためには、48薬効群のOTC医薬品を取り扱うなどの要件がついた。処方箋の枚数が多ければ儲かるというしくみが崩れ、患者にために何をしたかに点数がつくしくみに変わっている。

 ドラッグストアの調剤併設や薬局の品揃えもさることながら、地域包括ケアはそれぞれの強みを生かし、かかりつけ薬剤師・薬局としての役割を果たすことにある。それには、
薬剤師や登録販売者の高いパフォーマンスが、競争力の源(みなもと)になる。

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