🔸【ドラッグストアのイメージチェンジ】

 ドラッグストア業界は、薬剤師を必要とする業界です。売上上位のドラッグストアの多くが「調剤部門」と「OTC販売部門」を併設する事業を展開しています。企業規模が大きいのが特徴です。

 かつてはドラッグストアといえば物品販売をイメージし、薬剤師として就職しても販売員を連想する人が多かったと思います。とくに保護者に多く、薬学部への入学自体を反対するケースがありました。

 それが物販の売り場と調剤部門を分ける会社が主流になり、薬剤師が調剤をする姿を見て、調剤薬局の業務と変わらないことが理解されるようになりました。ドラッグストアの薬剤師のイメージチェンジです。

 またドラッグストアは、その物品販売を利用するお客様との触れ合いできる点が強みです。消費者との繋がりからセルフメディケーションを大きく進める牽引力になると考えられます。

 会社勤めの人や店舗に勤める人たちは、日中の医療機関の受診が難しい人が多いようです。会社近くのドラッグストアで「こんな症状だけど…」と相談する人も多く、一般薬(OTC薬)で症状を軽減して差し上げるケースがあります。

 調剤薬局はお薬の調剤を受けるときに利用しますが、ドラッグストアは消費者として日々利用します。「こんな症状だけど、何科を受診すればいいの?」と、いつでも健康相談、お薬の相談ができる利点があります。将来も、薬学部出身者の就職先として有力な業界です。

 国は医療費を抑えるために診療報酬や調剤報酬などの削減(改定)を進めています。そのためドラッグストア業界は、大手ほど調剤報酬改訂の影響を受けています。調剤薬局ほどではありませんが、2022年は調剤部門の粗利益率がそれぞれ1ポイント近く下がったといいます。

 調剤併設店が全体の70%を超える会社は改定が経営に大きく影響します。2024年の改訂は「診療」「介護」「障害福祉」のトリプル改訂。大規模な改定になるため、薬価を先に改定して診療報酬改定が6月に先送りになるといわれます。

 ドラッグストア各社は、新規店舗設置や同業他社の吸収・合併を繰り返して規模を拡大。売り上げを伸ばしてきました。さらに人口減少が進めば、売り上げを伸ばし続けることは難しくなります。そこで在宅医療やかかりつけなど地域性を活かした展開になっていくことが考えられます。ドラッグストア業界は、報酬の改定などを受けながら大きく成長してきました。これからの成長に注目です。

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