創薬には人々の生命を救う夢がある。臨床開発には、
薬を待つ患者さんの期待に応えるやり甲斐がある。
薬を創る仕事 研究を企画する仕事
一般に「研究開発」という言葉を使用します。しかし、製薬分野では創薬研究領域を「研究」、治験などを行う臨床開発を「開発」と呼んで区別しています。
●ゲノム創薬
疾病に関係するゲノム情報を活用して創成するのがゲノム創薬です。iPS細胞研究が進展し、研究段階から治療の段階に、またiPS細胞の技術が創薬研究にも取り入れられています。
●探索・合成
薬のタネをみつける探索研究や合成研究がその代表。抗体医薬や核酸医薬を有機合成の手法による生産も考えられています。
●薬効・薬理
合成チームが創製した化合物を、薬理研究チームが薬理・代謝研究「in vivo(生命内)」を行います。化合物などの活性を確認する研究です。
●前臨床試験
前臨床試験で、毒物・薬理・薬効などの試験を実施します。ここで行う安全性薬理試験は各種毒性・薬効薬理試験、化合物の中枢系、循環器系、呼吸器系に関して行われ、マウス、ラット、ウサギ、イヌなどを使って実験します。
●DDS・製剤研究
前臨床試験と平行して、薬物の特長を最大限に生かす製剤研究を行います。ドラッグ・デリバリー・システム研究や安定性を高める製剤研究です。医薬品の性能を最大限に引き出す上で製剤技術は創薬に不可欠な研究です。
●バイオインフォマティクス
ゲノム創薬の研究プロセスでに欠かせないツールです。標的タンパク質とリガンドとの相互作用を解明することにより、標的タンパク質に合致する分子をin silicoでスクリーニングすることもできます。
●研究企画・管理の部門
研究開発を統括して方向性を定める中枢部門です。研究の方向性を見極める業務で、将来を左右する重要な仕事です。
臨床開発職 医薬品に仕上げる仕事
●プロトコールの作成
臨床開発は、臨床試験(治験)の実施基準(GCP:Good Clinical Practice)に沿って進めます。被験者の人権と安全性の確保、臨床試験のデータの信頼性の確保などが背景にあります。治験を開始する前に、プロジェクトマネージャーは医師の指導に基づいて臨床試験計画書(プロトコール)を作成します。
●治験の実施(医師との連携)
臨床開発の仕事は、治験医へのGCP内容説明や患者情報の保護などを理解してもらいます。治験薬が「開発中の医薬品」であること、「治験を進める上での危険性」があることを患者さんに理解してもらいます。
●モニタリング
治験に参加する医療施設から臨床データを集める業務のほか、「GCPが遵守されているか」、「プロトコールが遵守されているか」などをチェックします。
臨床開発職・各担当者の仕事
●プロジェクトマネージャー
医薬品候補化合物に理想的な開発計画・臨床計画を立案・進行管理する担当者です。
●治験コーディネータ(CRC)
治験に参加する被験者のチェックや、治験医が行う同意取得説明のサポート、スケジュール管理、医師との連絡などを担当します。
●臨床開発モニター(CRA)
「症例報告書」や「カルテ」のチェックなど、被験者の日々のデータを収集します。
●GCP監査担当
治験が規定されたガイドラインを外れると申請の際にデータとして認められなくなります。そのためプロトコールに従った治験が行われているかのチェックを担当します。
●統計解析担当
解析計画などのマネージメントを担当し、収集したデータを分析します。臨床開発を進めるうえで重要な仕事です。コンピュータを使って膨大なデータから薬の性能を整理します。