4.働き方改革の波が医療分野にも

医師を中心とした働き方改革で
仕事のタスクシェアが始まる

働く人を守る働き方改革

 働く人を過労死から守る「働き方改革関連法」が2020年4月までに施行されました。医療機関で働く医療者にも適用されますが、医師は2024年4月までの猶予期間が設けられています。
 医師の働き方改善のため、医師業務のタスク・シェアが進められています。医師の中でも勤務医の労働環境が話題になることが多いようです。標榜科によって忙しさに差はあるものの勤務医の中には過酷な勤務環境で働く医師がいます。
 一方で医師の人材不足が深刻な病院もあり、医師業務を他のスタッフがカバーするタスク・シェアが進められています。
 医師の働き方改革が実現できなければ、施設名の公表や罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)もあるため時間的な猶予はありません。
 医師の負担を軽くするため、多職種がさらに連携を深めて専門性を発揮する時代になりました。

医師の負担軽減には業務の他職種移管

 「医師から多職種へのタスク・シフティング(既存職種への業務移管)」について医師へのヒアリングが行われました。薬剤師にシェア可能とした項目は6分野284業務のうち22業務でした。
 医師の超過勤務については、マスコミでも取り上げられ、よく知られています。医師の働き方改革を進めるため、超過勤務医師の多い医療機関の時間短縮を図る必要があります。そこで注目されているのが「タスク・シフト/シェア」です。
 これまで病院薬剤師の業務が政局通知によって薬剤師の病棟活動を行うようになったという実績があります。厚生労働省は、看護師や薬剤師の活用(タスク・シフト/シェア)」を提案しています。
 下に医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会がまとめた移行可能な業務を示しました。リストから医師の多忙さが伝わります。https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000558387.pdf

医師の働き方改革と薬剤師

 すでに大規模病院では手術室に薬剤師常駐を実現している施設が多くなりました。薬剤投与量を決めたり、保管管理、プロトコールを決めておき医師がいないときに対応するなど薬剤師に望まれることは、すでに実現している項目もあります。

薬剤師や看護師の活用

 厚生労働省は、看護師や薬剤師の活用(タスク・シフト/シェア)」を提案しています。日本薬剤師会・日本病院薬剤師会も「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」という文書を出しました。
 COVID-19では看護師不足が露呈し、看護師業務のタスク・シフティングも考えられており、厚生労働省は看護師業務の一部を薬剤師に任せようとしています。

非薬剤師の活用は病院でも導入

 これまで多くの病院を取材してきて感じるのは、非薬剤師の存在でした。
 高価な機材は、病院での予算では購入が難しいケースがあります。そこで外部業者が注射剤のセットを請け負い、ピッキングマシンを薬剤部の一角に配置して作業を行うケースがあります。また薬剤部内で生理食塩水などの開封や所定の位置への移動などを行う薬剤部もありました。
 薬剤師が対人業務に専念できるように非薬剤師の活用が認められました。すでに外部スタッフを運用する実績がありますから、病院の非薬剤師活用が進むと考えられます。外部スタッフは、薬剤部の業務を熟知しており、いつでも調剤補助ができる状態です。

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