「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ

厚生労働省が策定した「患者のための薬局ビジョン」が実現に向けて動いています

地域包括ケアシステムと調剤薬局

 2025年には65歳以上の推定人口が増加、医療費に加えて介護(75歳以上)にかかる費用も2倍になると予想されています。行政は医療の質を向上させる政策として「地域包括ケアシステム」の構築「セルフメディケーション税制」を政策にしています。
 2015年10月に「かかりつけ薬剤師・薬局」の基本機能を示す「患者のための薬局ビジョン」を公表しました。
 薬機法改正など、行政の施策は一見バラバラに見えますが、ベースに「患者のための薬局ビジョン」で示した方針があります。その中に政策の実現のための「薬剤師・薬局のあり方」や「薬機法改正」、「かかりつけ薬剤師・薬局の推進」があるようです。
 皆さんが薬学部を卒業する頃には、調剤薬局は今以上に患者に寄り添う医療機関になっています。

健康サポート薬局、かかりつけ薬剤師・薬局

 行政は長期にわたる計画の中で政策を進めます。「健康サポート薬局」と「かかりつけ薬剤師・薬局」もその一つです。
●健康サポート薬局
 かかりつけ薬剤師・薬局の機能をベースに、地域住民の健康に貢献していこうというのが「健康サポート薬局」です。健康相談や情報発信を積極的に行っていくため健康サポート機能の充実を求めています。
●かかりつけ薬剤師・薬局
 医師と協力して患者宅の残薬や重複投薬、不適切な多剤投薬・長期投薬を減らす取組みをします。また24時間の電話対応も求め、服薬情報の一元的把握と薬学的管理・指導を行う業務を評価します。
 「かかりつけ薬剤師」になるには次の要件を満たさなければなりません。
①薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があり、同一の保険薬局に週32時間以上勤務し、同時に、当該保険薬局に半年以上在籍していること。

②薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
③医療に係る地域活動の取組に参画していること。
 新卒薬剤師や転職直後ではかかりつけ薬剤師になることができない要件になっています。

かかりつけ薬剤師・薬局が服薬指導継続の基本

 薬機法では、「調剤時のみならず、薬剤の服用期間を通じて、一般用医薬品等を含む必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う義務がある」としています。
 特定の患者を対象に服薬指導を継続するには、患者との取り決めが必要です。
 かかりつけ薬剤師は、患者にかかりつけ薬剤師に選んでもらい文書を交わします。患者も担当薬剤師が「かかりつけ」であることを認識しなければ服薬指導の継続に対応しない可能性もあります。
 薬機法の改正の実現には、かかりつけ薬剤師・薬局の機能が必要と考えられます。

大型門前薬局と敷地内薬局

 厚生労働省は2022年度の診療報酬改定で、特定の大規模病院からの処方箋枚数や特定の医療機関からの処方箋が集中する薬局の診療報酬を薬局の診療報酬引き下げました。調剤報酬(調剤基本料)が対象で、敷地内薬局の報酬を7点としています。厚生労働省は、敷地内薬局や門前の大型チェーン薬局などの調剤報酬(調剤基本料)を引き下げました。これらの薬局で調剤してもらうと、患者さんが負担する医療費負担が軽くなります。
 厚生労働省は、地域の薬局に広く処方せんが持ち込まれる面分業をめざしますが、患者さんは医療費負担が軽い門前や敷地内の薬局を選ぶ傾向があります。厚生労働省の狙いとは反対の状況になっているようです。

調剤薬局の機能を認定

 がんやHIVなどの特定領域で、専門的な薬学管理を医療提供施設と連携して対応できる薬局です。傷病の区分ごとに認定を受けます。
 こちらはハードルが高く、地域薬学ケア専門薬剤師(がん)や外来がん治療専門薬剤師の専門薬剤師常駐を求めています。
 薬剤師の職能がさらに発揮できる職場になってきました。

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