薬学部を目指す受験生に、ストレート卒業やストレート国試合格の実績を知りたがる人がいます。薬学部教育の実力を比較したいのでしょう。
入学した学生の出来は薬学部によって様々。それでも各薬学部の先生たちは頑張っています。国試の成績を見ても、そこそこの合格率を残しています。大したものです。
問題は、学生の努力が成績を左右するのです。薬学部では、物理・化学・生物は重要な科目です。高校時代は科目選択しますが、その中で何を学べばいいのかという疑問が生じます。
yakugaku-u.jpがyakkei.comだった頃、高校の先生からの質問がありました。
高校の先生
「高校では、基礎科目の物理・化学・生物の3つを履修できますが、応用科目は2科目しか履修できません。その場合「物・化」または「化・生」のどちらを選択した方がいいでしょうか」
これに応えるために、研究志向の場合(国立大学)と薬剤師志向(主に私立大学)に分けて、それぞれの教授に教えてもらいました。
○研究志向のケース
「薬学部に入学後、薬学基礎から薬学専門教育において、生物は最初から講義され、その後より高度で種々の生物(生命)関連の講義へと進められます。
一方、物理や化学は教養の時から高校レベル以上の内容で講義されます。専門課程に入ると、さらなる高度な物理、化学の関連科目が入ってきます。
よって、高校で物理と化学を勉強しておいてもらうと大学に入っての講義が理解しやすくなると考えます」とのお答えでした。
○薬剤師志向の場合
「卒後に役立つ学問という設定でお答えします。学生さんのセンスにもよるかと思いますが、卒後は完全に生物が重要です。
ご存知のように医薬品の多くがバイオのテクニックで作られるようになりました。がんや自己免疫疾患治療に用いる生物学的製剤なども然りです。もっと重要だと思っていますのは現場で対応する患者はヒトであり、生物です。身体の中が分からずして、質問に答えられるわけがないでしょう」
との答えでした。
○編集部から
いずれも薬学部での学びや卒業後を考えた答えです。物理・化学・生物の重要性を指摘しておられると思います。
これとは別に入試を突破するという課題があります。2025年の薬学部入試で合格を目指している皆さん。今、物理・化学・生物を不得意にしているのなら、入試まで約1年あります。塾の先生に相談するなどして、計画的に実力をつけてください。中には総合型選抜で楽して進学することを考えている人がいるかもしれません。
理科の科目を不得意のまま薬学部に進学すると、ストレート卒業どころか進級もままならない状態になります。薬学部入学前にしっかり準備してください。