6. 基礎研究・応用研究など幅広い薬学研究の領域

官公庁や独立行政法人など公的機関も視野に入る

 学部卒業で官公庁の薬務行政担当(国家公務員総合職・大学院卒程度)や特許申請に関する業務につくことも可能です。
 大学院に進んで研究力をつけることにより、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のような医薬関連団体で新薬開発にかかわることも可能になります。
 また創薬研究以外にも幅広い活躍分野が広がっています。

製薬企業の研究者をめざすなら 大学院博士課程へ進学も視野に

 大学院博士課程の修了後は、薬学教育に携わったり、大学で研究者として活動するなどアカデミックな進路が考えられます。
 また製薬会社の現状は、研究職の採用数が減少傾向にあります。特に研究者採用では、専門分野の採用が行われます。「製剤研究に人材が欲しい」、「薬理研究に力を入れたい」といった現場の要求に応じて採用計画が立てられるからです。
 希望する会社の採用計画と、自身の研究テーマが合致すれば可能性が高くなります。
 採用では、研究業績やポテンシャルを併せもつ博士課程修了者を評価します。ただしTOEICスコアを求めますから英語力は不可欠です。

学部から大学院進学 他大学の研究室に進学

 同じ大学の大学院進学は、卒業研究から引き続き同じ研究室のお世話になることが多いでしょう。他大学の大学院に進学する場合は、大学院入試(院試)受験が必要になりま
す。
 希望する研究室を訪問して学生の研究ノートを見せてもらうなどの準備をします。

日本の研究室は講座制をとる

 日本の大学では講座制(研究室)をとる大学が多く、教授を頂点に准教授、講師、助教
などがおり、さらに大学院生や学部生が研究活動に加わります。講座制の特徴は、先進的な研究活動に並行して、学生教育を進めるという日本独特の教育システムです。
 薬学部は規模が小さく、教授など教員の数も限られます。そのため准教授、助教、時には大学院生も学部生の教育にあたります。

iPS細胞研究は、創薬研究に貢献する

 iPS細胞は京都大学発の研究成果です。iPS細胞の技術を使って多くの患者さんを救うことが可能と注目されています。大学発の研究成果では代表的な存在です。
 iPS細胞を使った研究は、創薬研究にも大きく貢献すると考えられています。病気のメカニズムが解明できれば副作用のない新薬開発が可能になると期待されています。
 mRNAとiPS細胞の出会いが、新型コロナウイルスのワクチン開発に貢献したといいます。創薬研究にも大きな影響力をもっています。

大学院の研究を垣間みてみよう

 大学の研究室には、iPS細胞のように可能性がある知的財産が眠っています。
 そんな研究成果や共同研究の相手として大学の研究室が注目を集めています。中には起業して研究成果を世の中に出すためベンチャーを企業して頑張る教授もおられます。
 学生たちは、入学から2年半程度で研究の一端に触れます。最初は、実験手法のレクチャーから始まりますが、次第に一人1テーマが与えられ研究の責任者になります。短期間の成長には驚かされます。

キャリアプランを描いて進路選択してください

 「将来、創薬研究の世界で活躍したい」、「何かしら医薬品に関わる仕事がしたい」などの目的があって4年制学科への進学を考えている人が多いでしょう。
 企業で創薬研究を行う人の中には、「新卒の就職活動ではとても苦労して内定をいただきました。しかし転職ではなんて簡単に採用されるのだろう!!と感じます」という転職経験者がいます。転職者の面接をするのが、採用部署で働く研究者というケースも多いようです。同じ業界の共通する研究をする仲間
という面接になるようです。
 新卒で第一希望の会社に研究職採用されるのが理想ですが、他社で経験を積むこともプランに入れておくといいようです。製薬会社は、即戦力の研究者を求めることがあり、なんとしても創薬研究の第一線で働きたいという場合の奥の手です。

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