9.製品の安全を「情報」「管理」で支える

承認された生産工程を許可を得ず変更すると違法
工程を守り安全性を高める仕事

医薬のバックボーンをもつ薬学出身者が頼りにされる

 製薬会社の医薬情報担当者(MR)は、自社医薬品のメリットとデメリットを医師や薬剤師に提供して患者の治療に貢献します。
 臨床側も医薬情報を重視しています。副作用や相互作用が心配される医薬品の相談をするのが、院内の薬剤師、そして製薬会社の医薬情報担当者(MR)です。薬学部出身MRは薬学の専門知識をもっているため、薬剤師と同様に頼りにするといいます。

市販後調査から有害事象監視へ

 信頼性保証職、安全性情報管理職、医薬安全性職などを採用する企業があります。
 医療・医学の専門知識をベースに、医薬安全性情報をまとめます。行政への有害情報の報告、医療機関に対する情報公開、医薬品の添付文書改定なども仕事です。
●ファーマコビジランス(GVP)
 臨床から回収したデータをもとに、市販後医薬品の有害事象を監視・評価します。
 臨床薬学をベースにした「薬剤疫学」が専門領域。海外のドクターと医療や医薬についてミーティングすることもあり英語力は不可欠です。

医学・薬学のスペシャリスト リエゾン職・メディカル職

 高度な医療情報を扱うリエゾン部門を設置する会社があります。欧米では、早くからメディカル・アフェアーズ部門を設置しました。メディカルアフェアーズ(MA)やMSL(Medical science liaison)です。
 その業務は、KOL(キーオピニオンリーダー/専門医師)や薬剤師への医学・学術情報の提供。反対に臨床や学会から最新の医学情報を収集し、社内の関連部署と共有します。エビデンス構築や高度な専門知識を扱い、医学・薬学の知識が活かせる仕事です。
 薬学など医療の知識が生きる仕事ですが、医師と対等に情報交換でき実力が必要です。そのため新卒で第一線リエゾン職になるのは難しいといいます。めざす仕事の一つに加えてください。

製薬メーカーの市販後調査(PMS)の仕事

 医薬品を発売すると、数多くの患者さんに使用されます。臨床の様々な患者さんに投与することで、臨床開発段階では生じなかった副作用・相互作用が明らかになることがあります。市販後調査(PMS/Post MarketingSurveillance)は、これらの情報の収集です。
●市販後直後調査
 新薬を販売開始直後から6ヵ月は、医薬品の適正使用と重篤な副作用を把握して、安全を確保する制度です。
●再審査制度
 承認時には十分に情報が得られない高齢
者や長期使用について製薬会社が収集。通常
8年後に国が有効性、安全性を確認する制
度。
●再評価制度
 医学や薬学の進展に応じて国が有効性、安全性を確認する制度です。期限はなく、必要に応じて随時実施されます。
●副作用・感染症報告制度
 製薬会社や病院・保険薬局に副作用や感染症を報告を義務づける制度。海外で生じた副作用の事例も含まれます。
●感染症定期報告制度
 生物由来製品に関して感染症の情報を収集・評価し、定期的に厚生労働大臣に報告する制度です。

薬剤師の専門知識を活かす生産管理職・生産技術職

 生産部門には、薬剤師資格をもつ医薬品製造管理者を置かなければなりません。化粧品や食品などの業界も同様です。製造工程で定める基準(GMP/Good ManufacturingPracticeの略)に沿って生産活動を管理。原材料購入や生産計画、在庫管理などを進めます。
●GMP(医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)
 医薬品製造を行う企業には不可欠。原料調合の温度や時間、洗浄の方法など詳細に管理し、作業マニュアルを作成。化学的な検証、確認、記録も求められます。米国への製品輸出にはcGMPに準拠した生産管理も必要です。

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