2. 将来の目的で薬学部を選ぶ就職実績という選択肢

最終目的が薬剤師や企業人なら 就職してこそ目標達成!

 「薬剤師になって、人の健康に役立つ仕事がしたい」、「医療関連の知識を活かして創薬研究・臨床開発の仕事につきたい」と考える人がいるとします。
 いずれも希望する職場についてこそ薬学部進学の目的を達成したことになります。
 実は、薬学部生の中には「5年次になってもまだ進路が見つからない」という学生がいます。何がしたいか、どんな進路に進むかは悩みながらもみつければいいのです。
 自分のキャリアプランが決まったとき、支援が受けられる環境があるか、それを知る上で就職実績は志望校選択の大きなポイントになります。
 薬学科であれば6年間も学んで希望する就職ができないのは残念なこと。就職状況こそ、志望校選択の最大のポイントなのです。

就職実績を確認する

 就職データを見るには、いくつかのポイントがあります。
① 6年制の就職実績
 6年制は、製薬企業や病院。薬局・ドラッグストアなど進路の幅が広く、業種別の就職者数などを確認します。病院名や会社名もチェックします。中には、企業就職者が多い薬学部があります。一般的に製薬会社や化学メーカー、食品メーカーといった企業への就職者が多い大学は、学生に力があるといわれます。製薬企業であれば、売り上げ上位企業の社数も確認します。
②6年制学科の大学院進学
 薬学科の上の博士課程は期間が長く感じられます。そのため薬学科の卒業生(学士)の大学院進学は極めて少ない状況です。薬が臨床でどのように使われているか、臨床にある創薬ニーズなど現場の経験者しか分からない知識があります。臨床で見つけた課題を研究テーマにして、創薬に結びつけることが
可能です。大学に残れば教授などの道もあります。これからは、4年制出身の教授が多くなることが予想され、薬剤師免許を持たない教授ばかりになりそうです。

③ 病院への就職
 病院は、様々な設置者や特色があります。 特定機能病院(大学病院など)や日赤病院、国立病院機構、自治体病院、済生会病院、大規模医療法人の病院など設置者は様々です。正職員としての採用、期間を限定した採用、レジデントの採用(有給の研修生)など採用形態も様々です。そのため就職先の内容確認は必須です。
 就職先に東京大学医学部附属病院を入れる大学がありますが、東京大学病院は費用が必要な研修生(6カ月)ですので、就職実績ではありません。
④ 4年制学部卒業生
 4年制学科に進学する受験生が想定する進路は、研究者、臨床開発担当者などの医薬業界でしょう。そのため卒業後は、ほとんどの学生が大学院に進学します。3年次で配属になった研究室のテーマを継続することが多いようです。
 学部卒(4年)で就職する場合、薬学の知識があるため医薬分野の採用が多くなります。企業は「資格をもたない薬学部出身者とみています。
 研究職で採用されることもありますが、仕事の内容は研究補助が多いようです。
⑤ 大学院博士課程前期(修士課程)と大学院博士課程後期(博士課程)
 大学院博士課程後期の修了後は、製薬分野の研究者・開発者としての就職や大学の研究者・アカデミアの進路が考えられます。
 創薬研究などの研究者・開発者を目指すには、大学院博士課程(博士)まで研究(進学)するのが理想です。国際学会で発表したり、研究者間で挨拶するとき博士課程修了者はDr(ドクター)の呼称で呼ばれ、修士修了者はMr(ミスター)と区別されます。
 修士課程で就職する場合、進級した年と修了の2年間が研究期間になります。1年次のほとんどが就職活動のためほとんど研究できません。そのため国公立大学では、修士+博士の5年間を研究活動にあてたいと考えています。研究職の就職実績は、大学院博士課程修了者のデータを参考にするといいでしょう。

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