1.飛行機オタクから薬学の本作りに

こんにちは。薬系進学・編集です。

 私の高校時代は「飛行機オタク」でした。板付飛行場で写真を撮ったり、航空技術や飛行の原理などの本を読んだりと充実した生活でした。
 しかしエンジニアを目指しているわけでもなかったので法学部に進学。卒業論文は「航空機事故と保証」をテーマにハーグ議定書などについて資料を集めたり判例を研究したものです。若い頃は全く医療とは無縁の生活でした。
 大学を卒業すると、大学生の就職を支援する会社でコピーライターをすることになりました。コピーライターは理系に弱い人が多く、飛行機好きの私は理系に強いと勝手に思われて、その分野の仕事が多くなります。
 ある時、飛行機に関連する仕事がありました。副業のようなもので、学齢前の幼児に飛行機について学ばせるという仕事です。文字では伝えられないので絵本のような内容。私は元々飛行機のイラストを描いていた関係で、イラストを担当することになったのです。
 大学教授と協働することになりますが、仕事を始める前に教授は私をテストするんですね。

教授「飛行機が飛ぶ原理をお話しください」 
私 「圧力の差です」
教授「プロベラの中心からの速度が求められますか?」 
私 「2πr n(2パイアールエヌ)ですか?」

 高校時代に読んでいた本の知識が役立ってしまいました。

○医療に関する本づくりに踏み込む

 まず理系の分野として看護専門予備校の仕事を担当することになり、看護師さんの取材や職場を紹介する冊子を制作。しばらくするとある薬科大学の先生から「この本が作れるのならうちの入学案内もできるだろう」とお声をかけていただきました。
 この薬科大学の仕事は面白く、その後の仕事の礎になりました。
 病院、薬局、ドラッグストア、製薬会社では研究所・開発・MRの職場から保冷倉庫まで、化粧品メーカーの研究所や薬事申請の部門、厚生労働省から地方自治体の福祉関係など行政も。さまざまな職場に接することができました。どこの職場に伺ってもその大学の先輩がいて、後輩を支えています。伝統の強みが、職場で生きており、風通しの良い環境を作っています。
 「伝統」は在学生、そして卒業生にとっても大きな財産であることを知りました。

 その後、教授から「入口の面倒を見たのだから、出口もやってみなさい。就職関係は儲かるよ」と声をかけられます。「儲かるよ」の一言に騙されて(アドバイスを得て)独立。薬系進路という媒体を発行しました。そして入口にあたる媒体「薬系進学」を発行したのです。

○好きなことは、自分から勉強する

 高校時代は好きな科目、興味がある科目を選んで履修しますね。苦手な科目や入試に関係のない科目は敬遠する傾向が強いと思います。
 しかし、薬学の基礎になっているのは化学・生物・物理(合わせて物化生と呼びます)+数学の4科目です。好き嫌いではなく、薬学教育に必要な科目です。

 ずいぶん前のことですが、武田薬品の藤野会長を取材したことがありました。藤野会長は、話が弾んでくると医薬品を紹介するため構造図(カメノコ)を次々と描かれます。化学には疎い私もわかったような気持ちにさせてしまいます。科学を知っている人には、すごいことだったでしょう。取材を終えると構造図をいただいて東京に戻りました。

 後日、都内薬学部の教授にそれを見せて解説していただいたのですが、その先生も理解しにくい箇所があると言います。解説していただいて、なんとか記事にまとめることができたことを覚えています。化学オタクの高校生なら、藤野会長直筆の構造図ですから額縁に入れて飾っていたかもしれませんね。

 何事も、興味をもったこと、好きなことを伸ばしてあげれば関連する知識も吸収して伸びていきます。まず、気になる環境を作ってあげることなのでしょう。面白く感じさせる指導者がいれば、放置しても勉強に没頭するようになるかもしれません。

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