臨床開発職という仕事

前臨床試験で安全性の研究を行います。さらに「毒性」、「発癌性」、「胎児や遺伝子への影響」を確認します。
 この確認後、臨床開発(治験)に進みます。医薬品の臨床開発部門は、対象となる治験薬が開発ステージに上がり、販売にいたるまでの行程を担当します。主に、企画、販売品目の選定、治験、薬事申請、マーケティングなどが主な業務です。
 臨床開発に参加すると製薬会社から病院に開発費が支払われます。また薬が上市されると開発に関わった病院に治療薬として採用されることが多いため臨床開発は製薬会社にって重要なマーケティング活動といえます。

臨床開発のプロセス

 開発職は、対象となる医薬品が開発ステージに上がり、販売にいたるまでの行程を担当します。マーケットリサーチ、企画、販売品目の選定、治験、薬事申請などが仕事。
 候補薬物は、実際に人に投与して効果や副作用の有無を確認する必要があり、それが臨床試験(治験)です。
 

第 I 相試験(フェーズ1)

 健康な人に投与して、動物では確認できなかった作用が人間に対して出るか確認する試験。
 

第II相試験(フェーズ2)

 少数の患者さんに投与して病気への作用をみる試験。

第III相試験(フェーズ3)

 多数の患者さんに投与してデータを収集します。
 大手製薬企業では、1つの治験薬を担当しても臨床開発の一時期に関ることが多いようです。
 中堅企業では臨床開発のスタートから承認申請まで担当することがあります。
 一定の条件をつけてフェーズ3を行わなくていい「条件付き早期承認制度」が導入されました。

国際共同治験

 1997年4月から治験の実施基準(GCP)が国際基準に統一されました。
 新GCPでは海外で行われた治験データがブリッジングにより日本での申請に活用できるようになりました。
 さらに新薬の世界規模での開発・承認を目指して国際共同治験が実現しました。一つの治験に複数の国や地域の医療機関が参加。共通の治験実施計画書(プロトコール)に従って行う臨床試験です。主に 第III相試験が対象で、第I相試験は日本で実施します。早期申請・承認のため国際共同治験の活用が主流になりました。

コロナ禍が臨床開発を変えた

○リモート治験
 これまでウエアラブルなどの動きがありましたが、コスト面で進展しませんでした。ところがCOVID-19の影響は、治験のあり方まで変えました。コロナ禍で治験が中止になったり延期になるという状況で、「リモート治験」が登場したのです。
 塩野義製薬、第一三共、ファイザーが導入・検討するほか、CROのシミックが「バーチャル治験システム」を提供しています。
 システムとしては、被験者に専用スマートフォンを貸し出し、アプリに体温や症状、副作用の状況を入力してもらいます。検体も被験者が自宅で採取したり、オンライン診療する医師が容態などを確認します。

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